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ようこそ。ろーらいと申します。気になる日々のあれこれを綴ってみました。    今はお芝居に夢中。


by rollei-88
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『ラブハンドル』を観る パルコ劇場

【2006年2月16日 マチネ X列上手サイドでの観劇】

板垣恭一さん演出による、中谷まゆみさんの新作『ラブハンドル』を観て参りました。中谷&板垣コンビの作品は、前作『お父さんの恋』以来、2度目の観劇となります。このコンビに欠かせない、北村紀子さんの音楽もとても素敵です。
このお二人による舞台は他にも、『ビューティフル・サンデイ』『ペーパーマリッジ』『今度は愛妻家』といった作品があります。DVDで観た『ビューティフル・サンデイ』と『今度は愛妻家』には、号泣させられました(生の舞台で観ていたらえらい事になっていたと思う^^;)。ただ一つ、DVD化されていない『ペーパーマリッジ』は、私は未見ですので、是非戯曲本の発売か、出来る事ならば再演を強く希望。

この日は、会場に収録用のカメラが入っておりました。困った事に、カメラを操作している方のイヤホンから、やたら声が漏れていて、観劇に集中できませんでした(涙)。良いシーンに限って、何やら話し声が聞こえるんだなあ、これが・・トホホ。
平日マチネをよく観に行きますので、収録日に当たる事が多いのですが(最近では『明日のニュース』観劇時にシアターテレビジョンの撮影がありました)、こんな事は初めて。カメラにごく近い所の席だったのが災いしたのか・・。
この日の収録が使われるのか、DVDの発売が決定した様です。詳細はコチラ。以下ネタバレしています。観劇予定の方は見てはいけません。




登場するのは、「ラブハンドル=お腹のまわりの贅肉」が、そろそろ気になる微妙な年頃の人々。
バツイチの弁護士・勝(原田泰造) とその秘書・千鶴 (富田靖子)はいわゆる恋人同士だが、長すぎた春をやりすごすうち、夏と秋を飛ばして冬を迎えてしまった結婚ニートカップル。もはや崖っぷちと焦っている千鶴は、あの手この手で結婚を迫るが、勝に全くその気ナシ。
ある日彼らの事務所にやってきたのは、二枚目なのにどこか挙動不審な男・薄井(石黒賢) 。一見オイシイ依頼人かと思いきや、この人が世紀の片思いに悩む実に情けない恋愛ニート。彼女のために生きるの死ぬのと大騒ぎして、果ては3人同居するハメに。
そんなさなか、近所に住む勝の姉(長野里美) は、夫(小須田康人)の浮気を疑って離婚を宣言。さらに勝の娘のカレシと名乗る若者(瀬川亮) までが現れ、恋愛相談を持ちかける。かくして、勝の事務所では、4つの恋物語が交錯。 人の恋を見て我が恋を想い、それぞれが見つける愛のカタチとは?(HPより抜粋)


弁護士事務所兼自宅として使っているマンションで、同棲生活をしている勝と千鶴は、ラブラブな時期をとっくに通り越した、ややくたびれたカップル。二人はつきあい始めて10年。未婚である千鶴にとっては年齢的にも、これから先の人生について、けじめ(結婚)を求めたい時期です。
勝には離婚経験があります。私は離婚をした事が無いので解りませんが、経験者(知人男性)によると 、離婚する際に費やす精神的エネルギーたるや相当なものらしく、「もう一度結婚をして、また同じ事(離婚)になったら・・」的な考えがどうしても頭をよぎってしまい、再婚にはかなり慎重になるみたいです(子供がいたらなおさら)。バツイチ男性は、再婚に臆病なんですね。
そんなバツイチの勝の求める事実婚(内縁)は、相続の問題や、お互いの姓の違いによる周囲の憶測なんかが鬱陶しいですし、何より親族が黙っちゃいません(^^;) 。結婚を夢見る未婚の女性には、理解不能の世界なのかもしれません。

mixi、子宮癌や若年性アルツハイマー、ED、離婚と子供の問題、そして再婚などなど、時事ネタや中谷まゆみさん世代(30代以降の男女)が抱える様々な問題をじゃんじゃか(笑)盛り込む辺りは、毎度おなじみ。薄井の片思いの相手が勝の元妻であるとか、中谷さんにありがちな無理無理の人物設定はあれど、今回も泣かされてしまいました。

富田さんの巧さもあってか、原田さんが思っていた以上に好演されてました。富田さんの可愛らしさにびっくり。同世代とは思えない若々しさです(^^;) 。
そしてやはり、小須田&長野コンビの巧さが光ってました。小須田さんは、プレスリーのコスプレで踊る「ED克服ダンス」や、兎の耳当て等で笑いを取っておりました。このまま、ピエロな感じで終ってしまうのかと思いきや!今回の舞台での、彼のクライマックスの言葉は、こうありたい、あり続けたいと思う「結婚」の形を語っていらしたのではないでしょうか。小須田さん、客席の女性の心をガッツリ掴んでおりました。若年性アルツハイマーである、妻笑子(長野)を優しいまなざしで見つめながら、
「結婚していて良かったと思う。彼女の人生を引き受ける権利があるのは夫の僕だから。僕の事を最後まで覚えていてくれたら、それでいいと思う。」(実際の台詞とは微妙にニュアンスが違うかもしれません)
・・・・・号泣ですよ、もう。ここまでのストーリーがすっ飛んでしまう程に(笑)。

勝と千鶴のハッピーエンドで幕を閉じた今回のお話ですが、千鶴は子宮頸癌を患った(密かに手術をしたということらしい)様ですから、完璧なるハッピーエンドではないんですね。この辺りも中谷さんらしいと言えばらしいのか。中谷さんの作品にはいつも「死」を意識させるエピソードがありますね。薄井は薬物自殺や投身自殺を計ろうとしてましたし。

次回サードステージの舞台は「恋愛戯曲」。詳細はコチラ。

【ラブハンドル】サードステージ
作/中谷まゆみ 演出/板垣恭一
出演/原田泰造・富田靖子・瀬川 亮・長野里美・小須田康人・石黒 賢
音楽/北村紀子 美術/尼川ゆら 照明/吉森賢治 音響/堀江 潤 衣装/森永幸徳・金田実香 ヘアメイク/西川直子 インテリア/采澤 ? 振付/井上一馬 演出助手/松倉良子 舞台監督/藤崎 遊
2006年2月4日〜2月20日までパルコ劇場にて上演。地方公演有り。
by rollei-88 | 2006-02-18 23:42 | 観劇